1898年2月10日南ドイツ生まれ。ドイツを代表する劇作家、詩人、演出家。1917年、当時19歳で、ミュンヘン大学哲学部に入学。のちに医学部に転部し、文学・音楽・舞台技術に没頭する。1918年には、処女作「バール」を執筆。1922年ミュンヘンで初演された『夜打つ太鼓』が成功をおさめ、脚光を浴びる。その後第二次世界大戦中は、ナチスの迫害を逃れ、各国で亡命生活を送る。戦後は東ドイツに戻り、劇団ベルリーナー・アンサンブルを設立。演劇活動を再開させたが、1956年心筋梗塞のため死去。
ブレヒトは、観客を舞台上で行われていることの観察者にすることで物語に感情移入させることを排し、観客に客観的・批判的な思考を促す「叙事的演劇」や、演者と観客という従来の演劇の区別をなくし、政治的な態度決定、社会的行動の選択のための教材となるべき演劇を目指した「教育劇」など、演劇のさまざまなあり方を探求し、それらを実践する演劇理論「異化効果」を提唱した。「異化効果」は、当たり前に見慣れた事柄を非日常的な、あるいは未知なものとして捉え直し、観客に新しい認識や見方を提示させる演劇理論で、ドラマを通じて観客にカタルシスを起こす演劇のあり方への疑義として、戦後から現在までの演劇に決定的な影響を与えている。代表作に『三文オペラ』『肝っ玉おっ母とその子どもたち』『ガリレイの生涯』『セチュアンの善人』『コーカサスの白墨の輪』など。
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